W W

Domaine Grosbois

ドメーヌ・グロボア
France, Loire,

Domaine Grosbois
ドメーヌ・グロボア

産地:ロワール地方/シノン地区

「世界を旅して、シノンの良さを知る」

ロワール地方において、ソミュールと並ぶ赤ワインの主要産地として有名なシノンで、1820年から家族代々ブドウ栽培を営むグロボア家。創立者のルネ・グロボアから7代目になるニコラが、2005年から当主となっています。
ドメーヌは、ロワール河の支流、ヴィエンヌ川沿いに位置するシノンから約10km川上のプレソワール村にあります。所有する9haのブドウ畑は、川から上部の森へと連なる南向きの斜面にあり、とても優れた日照条件と水はけの良さが特徴です。
蔵は15世紀に建てられた要塞の建物を改装して住居兼醸造所としています。フランス革命後に行われた耕地分割や整理統合の影響を受けなかったため、ブドウ畑はひとかたまりのまま蔵に隣接しています。
ブドウ栽培農家として長い歴史を持つ家に育ったニコラは、家業を継ぐことは当然のことと思いながらも、大学卒業後すぐに実家に戻るには漠然とした抵抗感がありました。それは、「シノンのワイン」というものを明確に捉えきれずにいたからです。
それが理由となってニコラの世界ワイン行脚が始まりました。
1999年、まずは南仏のミネルヴォアにある30haのブドウ畑を持つドメーヌで、高貴なシラー、難しいムールヴェドル、そしてグルナシュ、樹齢の古いカリニャンなど南仏の品種を体験しました。
「世界のワインを知りたい。」南仏で2年働いたニコラは世界に羽ばたきます。
チリのマイポヴァレーを皮切りに、オレゴンの2つのワイナリーで働いた時、最新技術によるテスト結果をワイン造りの現場にフィードバックする体制と、オープンなアングロサクソン人の姿勢に多くのことを学びました。(もしシノンに帰らなければ、オレゴンに住もうと思ったくらい強く惹かれた場所だそうです)
オーストラリアのハンターヴァレーで、凝縮感がありアルコールが高く、インパクトの強いワインに触れて、世界のワインの多様性という観念を理解できました。それぞれのワインは、ブドウが育った土地と人柄に似るんだ、ということがはっきり分かったのです。
最後の海外研修となったニュージーランドでは、ハンターヴァレーとは逆に、冷涼な天候の元で育つピノ・ノワールによるワイン造りを通して、気候風土を活かしたワインを造れば良いのだと気づきました。同時に、自分の家族はなんて素晴らしいブドウ畑を守ってきたのかを自覚したのです。
ニコラは、2005年の春、ニュージーランドでの仕込みを終えて家族が待つ故郷に戻りました。

〈栽培・醸造〉
表土の下は「テュフォー」または「ミラルジュ」と呼ばれる石灰質の岩盤がソミュールから続いており、その上を粘土質や珪質土壌の層が覆っています。その深さは丘の上部で30cm、下部で1.5mほどです。9haのブドウ畑は13に区切られていますが、昔の人は区画を分ける際に、傾き加減などとともに、地質によってブドウの生育が異なるため、作業内容と効率を考慮して分けたことがうかがわれます。
グロボアで育てるブドウは全てカベルネ・フランです。

蔵に戻ってニコラが初めに取り掛かったことは、収量の低減です。味がのったブドウを育てられるよ35hl/haを目標として、全区画を徹底して冬の剪定と果実の間引きをしました。翌年は、樹齢や地質が違えば当然樹勢も違うため、前年の結果を参考に樹の状態を見ながらブドウの量を調整し始めました。

「樹を見て聞き、手でブドウと話す」

ブドウ畑に出ると、樹一本一本の樹勢を見てまわり、生育状況を徐々に把握できるようになりましたブドウは健康か、それともいつもと違って調子が悪いのか。それに応じて仕事内容が変わります。7月に行う間引きも、樹勢や枝振りを判断してブドウがきちんと熟してくれるように考えながら行います。(平均25~30%のブドウを切り落とす)
「手で話す」という意味は、手作業で樹の面倒をみるということです。2007年から除草剤や防虫剤といった合成化学物質による農薬をやめました。ブドウ自体が生育のバランスを取ることができれば、樹は健康に育ってくれ、ひ弱でなくなる。地中の成分をしっかりと吸い上げて優れたブドウが成熟するのです。

2008年は、両親の支持と仲間のヴィニュロングループの協力によって、手摘み収穫をすることができました。結果は目覚しい品質アップとなり、以後全てのキュヴェを手で収穫しています。その上、ブドウの温度が上がらないように、収穫は午前中の早い時間だけに限定しています(12~14℃)。
2009年の良好な結果をもとにして、より良いブドウ作りを目指して「ビオディナミ農業」を考えています。現在ビオロジックの認定団体「エコセール」に申請中です。

d_grosbois_vf_01d_grosbois_vf_02